新しいスタンダードを
生み出す。

リテールシステム部リテールシステムグループ
2017年3月中途入社
岡田 直喜
※組織名・所属は取材当時のもの

合併に伴う、大規模プロジェクト。

2017年、現ENEOSグループの前身となる、JXエネルギー株式会社と東燃ゼネラル石油株式会社の合併にあたり、双方が運営していたガソリンスタンドのシステムを統合するプロジェクトが動いていた。それぞれで運用されていた会員カードを一つにするためのプロジェクトや、一部店舗でのみ可能だった電子マネーでの支払いを全店舗可能にするためのPOSシステムの改修など、様々なプロジェクトが並行して動いていた。
中でもEneKey(エネキー/SS店頭非接触決済ツール)という新たなサービスを生み出すプロジェクトは、ENEOSシステムズの中でも最重要案件として位置づけられていた。そしてそんなプロジェクトに挑むことになったのが、当時入社したばかりの岡田だった。

デジタル領域のプロとして。

EneKeyは、全国のENEOSのガソリンスタンドで使用できるスピード決済ツール。かざすだけでお金が支払えるだけでなく、販売実績や購入実績を蓄積していく機能も付いている。ユーザー観点では、支払いがスピーディに行なえるようになり、なおかつポイントが自動的に加算されるメリットがある。ENEOS側のメリットとしては、例えば前回のオイル交換から半年経っているから、そろそろオイル交換の提案をすべきなど、顧客の個人情報を保有することで適切な販促につながり、売上拡大が見込める。
しかし作っても、使っていただけなければ意味がない。そのためユーザビリティを徹底して高めていった。クライアントであるENEOSから機能の削除や追加の依頼があっても、それが利用者とってメリットがあるのかどうかを考えた上で、依頼を断ることもあった。岡田はセキュリティや技術的な面も含めて逐一ENEOSと協議を行ないながら、仕様を確定させていった。言われたものを作るのではなく、デジタル領域のプロとして、クライアントと接し続けた。

自分の仕事の音が聞こえる。

前職からエンジニアの岡田にとっても、これだけの大規模プロジェクトは初めての経験だ。そのためトラブルが起きないように慎重にプロジェクトを進行させていった。例えば、プロジェクトに参加している全てのシステム開発会社を集めたミーティングを毎週実施。進捗と品質を短いスパンでチェックしていくことで、問題が起きてもすぐにリカバリーが取れるような体制を作った。長期間のプロジェクトでは、小さな遅れや認識のズレの積み重ねが、後々スケジュールを圧迫することも少なくないからだ。
そうしてプロジェクト開始から2年、無事EneKeyのリリースに成功した。今ではおよそ1,000万登録(2023年8月現在、スマホアプリによるモバイルEneKey含む)まで普及している。EneKeyを使って決済を行うと「エネキー♪」という音がなるが、「ガソリンスタンドに行った時に、エネキーという音が聞こえると本当に嬉しいんです」と岡田は嬉しそうに話してくれた。
EneKeyはリリース後も、ガソリンスタンド利用者向けスマホアプリへの連携等、様々な機能が追加されている。
また、岡田自身は現在、EneKey関連プロジェクトだけでなく、ガソリンスタンドに関わる様々な大規模プロジェクトに参画している。
岡田は今も、「今日のあたり前」を支えながら、「明日のあたり前」のために新しいスタンダードを生み出している。