プロジェクトの中で気づいた
私がここにいる意味。

システム2部コーポレート2グループ
2020年度 新卒入社
小川 恭子
※組織名・所属は取材当時のもの

業界が注目の新会社発足で案件が動き出す。

2021年12月。新会社のWebサイトを構築するプロジェクトが秘密裏に動き始めた。その新会社とは、翌年JSR株式会社からエラストマー部門が事業譲渡され、ENEOS株式会社100%出資のもと発足する「株式会社ENEOSマテリアル」である。当時、ENEOS株式会社によるエラストマー事業買収のニュースは、化学業界に波紋を呼んでいた。そんな最中、ENEOSマテリアルの誕生を正式に公表するための、Webサイト構築のプロジェクトがENEOSシステムズに舞い込んできたのだった。
当社では、Webサイトの新規構築に必要な期間を基本的に約1年としている。しかし、社内でプロジェクトが立ち上がった時点で残された制作期間は4ヶ月弱しかなかった。そんなプロジェクトのPM(プロジェクトマネージャー)に任命されたのが当時入社2年目の小川である。
クライアントであるENEOSマテリアルからの要望は、約40ページ規模のWebサイトを4月1日に公開すること。「確実に間に合わない」。それが小川が抱いた最初の印象だった。「どうやって間に合わせよう」。新しいプロジェクトへの期待より、不安と焦りで胸がいっぱいになった。

視界が開けた瞬間。

小川にとってWebサイトを一から構築するプロジェクトは、本件が初めて。これまでのメイン業務は、グループ会社約30社からのオフィシャルサイトの更新依頼対応だった。そのため、プロジェクトメンバーにはWebサイト新規構築の経験が豊富であるOJTトレーナーがアサインされた。小川は不安を抱えながらも「わからないことはその場で聞く」を徹底し、周りの協力を得ながらプロジェクトを進めた。
制作チームへのスケジュール確認を進めていると、上司が「求められる機能の優先順位を確認し、何か調整できるものはないかクライアントと相談しよう」と言った。上司は直ちにクライアントとの連絡を取り、予定されていた英語版Webサイトの制作を見送り、日本語版Webサイトを来る4月1日に確実にオープンさせるよう注力することで合意した。「こうすれば、プロジェクトを完遂し、クライアントが必要としているWebサイトを提供できる」。約30社からの依頼対応を手がけてきた小川には、要望を全てとするのではなくて、クライアントのビジネスにおける影響等もイメージしながら、実現できるベストは何かを追求するSEとしての姿勢を強く印象づけられた。
「クライアントのご要望をすべて鵜呑みにするのではなく、最適な形をご提案する」。この気づきによって、小川の視界は一気に開けた。上司の調整を近くで見ていた小川にスイッチが入った。

提案によって未来が変わる。

小川は制作するページ数の大部分を占めていた製品情報ページを、1ページにまとめる方法を提案。製品ごとにページを用意するのではなく、製品の情報を「タイトル」「製品の簡易説明」「PDFファイルリンク」にまとめ、その全てを1ページに掲載することで、製品一覧を見やすくするだけでなく、大幅なコストカットを実現した。先回りして、PC画面上での表示方法がイメージできる設計図を作成していたことも功を奏した。自分の提案によってプロジェクトが大きく動いた瞬間だった。その後も様々なイレギュラーが発生したが、小川はその都度、制作チームへ掛け合いクライアントとコミュニケーションを取ることで、無事にプロジェクトを成功へと導いた。
「プロジェクトの成功には、それぞれがしっかりと自分の考えを出し合い、その実現に向けて、クライアントや上司も含めたメンバー全員が力を合わせることが欠かせない」。それがプロジェクトを終えた小川が辿り着いた答えだった。「あっという間の4ヶ月間でした。プロジェクトの最中に、自分でも成長を実感したくらい考え方も行動も変化しました」と小川は言う。そこに、不安と焦りで胸がいっぱいになっていた姿はもうない。「いつか、もっと大きなプロジェクトを動かしてみたい」。そんな熱い想いを胸に、新しいプロジェクトに挑んでいる。